「はだての生うに」の証を示し
築き上げてきたブランド価値を守りたい
ほかとは一線を画した品質のウニとして知られる、「はだての生うに」。そのブランド価値は、長い間、一部の悪質な事業者によって脅かされてきた。国内外の市場で、「はだての生うに」の模造品(偽造品)が出回っているのだ。本物の「はだての生うに」と模造品をはっきりと区別し、ブランド価値を守るうえで役に立つのが、Akliteia®(アクリティア)。その魅力を羽立水産株式会社の羽立さまが語る。
産地偽装の被害に遭いやすい、高品質のウニ
——まず、水産業界における産地偽装問題の現状について、お話いただけますか。
残念ながら水産業界では、産地偽装問題がさほど珍しくありません。今年に入ってからも、国内の水産業界で起きた産地偽装がニュースになっています。しかし明るみに出る事例はごく一部で、実際は、もっと多くの産地偽装の事例が存在するとみられています。
水産物のなかでも、産地偽装の標的にされやすいものがあります。ウニの場合、産地偽装の標的にされやすいのは、利益率の高い高品質なウニです。国内には現在、ウニを扱うメーカーが約200件ありますが、産地偽装の被害に遭っているのは、そのうちの2〜3件であるとみられます。
——これまでに羽立水産さんが受けた被害として、どのようなものがあるのでしょう?
羽立水産では、長年にわたって高品質なウニのみ取り扱ってきました。水産業界ではもちろん消費者の方々の間でも、羽立水産の「はだての生うに」は、付加価値の高いブランド品として知られています。そして、この羽立水産のブランドを悪用して利益を得ようとする事業者は、昔から現在にいたるまで、後を絶ちません。羽立水産のものではないウニのパッケージに、「はだての生うに」の偽ラベルが貼られて販売される例が、国内外で散見されます。
現在の水産業界では、産地偽装を防ぎにくい
——そうした羽立水産の模造品は、どのようにして見つかる場合が多いのでしょう?
特に多いのは、消費者の方によるSNSやブログへの投稿をきっかけに、発覚するケースです。私や羽立水産のSNSに、海外のブロガーさんから直接、「羽立水産のラベルが貼られたウニを見つけたが、どうも疑わしい。これは本物ですか?」というメッセージと写真が送られてくることがよくあります。それをもとに調べた結果、「はだての生うに」の模造品が販売されていたことが発覚する、というケースが多いですね。
ちなみに、そうした情報を提供してくださる方から、「模造品を本物だと偽って販売するのは、実に恥ずかしい行為。こうした模造品が出回らないよう、羽立水産で何か対処をしてほしい」といった意見をいただくこともあります。
——水産物の産地偽装問題が後を絶たない背景には、どのような原因があるのでしょう?
現状、水産物のトレーサビリティを確保するためのシステムが不十分で、産地の偽装をしやすい環境があるといえます。水産会社が発行する「産地証明書」という書類が、水産物の産地を保障するものになりますが、この産地証明書には、水産物が水揚げされた日にちと場所、船名といった基本的な情報しか記載されていません。また、産地証明書は、QRコードなどがない簡易な書類となっているため、偽造しようと思えば作り変えることもできます。流通の過程で偽造された産地証明書と模造品が、そのまま小売店のもとへ届くというケースは、いとも簡単に起こりうるのです。
また、カニをはじめとする比較的大きな水産物であれば、タグをつけて個体ごとに管理することもできますが、殻が剥かれた状態で流通経路にのるウニは、タグをつけて管理するのが難しいという事情もあります。
羽立水産のようなウニを、しかも利益率の高い逸品を扱うブランドは、産地を偽装しようとする事業者から標的にされやすいのです。
誠実な対応が導入の決め手に
——旭化成のAkliteia®に出会い、導入を決めるまでの経緯を教えていただけますか。
創業以来、羽立水産は、信頼とブランドを築き上げてきました。悪質な事業者によって、これらが損なわれることは今後、皆無にしたいと考えています。羽立水産が手がけた本物の「はだての生うに」と、ニセモノをはっきりと区別できる手段を模索していた時、インターネット上で見つけたのがAkliteia®です。公式ホームページに掲載されていた過去の事例を見た時、「これがあれば、『はだての生うに』のブランド価値を守れるかもしれない」とピンときました。さっそく、問い合わせフォームより「うちのウニの模造品が出回っており、困っています。Akliteia®は食品にも付けられますか?」というメッセージを送ったところ、すぐに返信がきて。また、「Akliteia®の導入に向け、具体的に進めていきましょう」と言ってくださり、とても心強く感じました。スピーディかつ誠実な対応をしてくださったことも、Akliteia®の導入を決めた一因です。
——旭化成の対応にも、魅力を感じられたということですね。Akliteia®という製品に関しては、どのような点を魅力に感じていらっしゃいますか?
Akliteia®の偽造防止ラベルは、薄くて軽量なので、商品につけやすいです。そのため、現場での作業を阻害しない、ウニを輸送する際の航空運賃に響かない、といったメリットが期待できます。
また、水産物を店舗で販売する場合、ラベルのロゴがとても重要な役割を果たします。消費者の方々は、ラベルに印刷されているロゴや文言をもとに、買うかどうかを判断されています。ラベルのデザインに影響しない点も、Akliteia®の偽造防止ラベルの魅力ですね。
消費者の方が、安心して「はだての生うに」を買えるように
——偽造防止ラベルは、商品にどのように付与する予定でしょう? また、偽造防止ラベルの付与により、どのような効果を得たいと考えていらっしゃいますか?
羽立水産のラベルのすぐ近くに、Akliteia®の偽造防止ラベルを付ける予定です。また、偽造防止ラベルに、このラベルは偽造防止を目的とするものである旨を、記載したいと考えています。羽立水産のウニは海外でも人気で日常的に流通しているので、日本語だけでなく英語でも、そうした文言を記載したいですね。
流通経路にのせる前に、「はだての生うに」のパッケージに偽造防止ラベルを貼ることで、そのウニが間違いなく羽立水産の商品であると証明できるはず。ラベルを見た国内外の消費者の方々が、安心して「はだての生うに」を購入できるようになることを望んでいます。
Akliteia®の導入によって、弊社のウニの流通経路が保証されれば、これまで以上に羽立水産のブランド価値が上がり、より高値で弊社のウニが取引されるようになると思います。さらに弊社の利益を上げ、「はだての生うに」に関わる人々にもメリットがもたらされるようにしたいですね。
——社内や卸売市場では、Akliteia®について、どのような感想や要望が挙がっていますか? また、Akliteia®に関連したサービスを受けるなかで、どのような点を長所と感じられましたか?
長い間、羽立水産の模造品の存在は、弊社にとって深刻な問題でした。真贋を見分けるうえで役に立つAkliteia®の導入については、社内スタッフは誰もが賛成しています。
そして、Akliteia®の導入後、こちらに寄り添ったサポートサービスが受けられる点も、製品の長所だと感じました。現在、旭化成の担当者の方が、マンツーマンで製品に関するサポートをしてくださっています。卸売市場にAkliteia®を導入するにあたっては、課題もありましたが、現場の環境などをヒアリングしながら、一緒に解決方法を考えてくれました。
旭化成さんからは、製品の導入をもってサービスを完了するのではなく、課題があれば共に解決方法を考え、きちんと効果が出るまでサポートするという姿勢が感じられます。旭化成さんやAkliteia®は、とても心強い存在ですね。